2009年10月6日火曜日

自動スキャン方式による乳腺専用超音波装置ABVS

乳癌の早期発見にマンモグラフィの弱点を補う意味でも超音波検査が有用であることは、今までも何度か触れました。

しかし、超音波検査を乳がん検診に導入するためにはまだ解決しなければならないいくつかの問題があります。

一つ目は、再現性の問題です。通常の超音波検査では、検査をした技師(医師)以外の人は、撮影された画像(動画で記録も可能ですが、通常は静止画)で判断しなければなりません。写真が悪ければ判断を誤る可能性があります。動画で保存しても、リアルタイムに位置関係がわからないので、あとで異常が見つかった場合に、どこにあったのかがわからなくなってしまい、過去の画像との対比も困難です。

二つ目は、検査をした技師(医師)の技量によって精度が変わってしまう点です。異常と認識できれば画像にも残せますが、異常と認識しなければ記録は残らないからです。

マンモグラフィは、フィルムが残るので、複数の医師が読影できますし、過去の画像とも比較できます。撮影方法が決まっているので位置関係も明確です。そういった意味でもマンモグラフィは精度管理がしやすく、検診に導入しやすい検査なのです。

これらの超音波検査の問題点を克服するためには、まず検者の技量を上げるための講習や資格試験の導入が必要で、現在すでにJATSという組織が中心になって一部行なわれています。動画の保存も一部の施設では行なわれていますが、すべての動画を保存するのには容量も必要ですし、ダブルチェックをするためには検査時間と同じだけの時間を要しますので、日常診療の中ではかなり困難です。

そこで今年から実地診療で使用可能になった検診用超音波検査装置が、ACUSON S2000 Automated Breast Volume Scanner(ABVS)〔持田シーメンスメディカルシステム〕です。自動的に乳房全体の超音波動画を撮影し、位置関係も含めたデータを保存するため、冠状断(乳房を正面から見る画像)を含めた複数の断面画像で超音波診断ができるという特徴があります。また、過去のデータとの比較も容易ですし、MRやCTの画像と重ねあわせて広がりの診断精度を高めることも期待できます。一人の患者さんに要する時間も10分程度と短く、患者さんにやさしい検査法と言えます。将来的には、自動診断機能の開発も期待されています。

まだ国内に1台、全世界でも13台しか稼働していませんので、まだまだこれからの装置ですが、期待が持てそうな検査装置です。

0 件のコメント: