2009年10月8日木曜日

予約外来と待ち時間

私の外来は、乳腺専門外来で完全予約制です。とはいっても週に1単位しかないため、本当は午後から18人(30分単位で3人)の枠なんですが当然おさまりません。18人はあってないような予約数で実際は25-30人ほど診察予約が入っています。

私の外来のポリシーは、なるべく患者さんをお待たせしない、看護師さんを残業させないように診療時間内で終わる、でも患者さんには十分満足していただけるような診療(正確な診療、わかりやすい、話しやすい外来)を行なう、ということです。実際はなかなか難しいですがこの時間を確保するために、いつも13:30からの診療開始時間を繰り上げて、13:00から診察を始めています。

でも、今日はなかなか思い通りにはならず、待ち時間が長くなった一人の患者さんを怒らせてしまいました…。

原因は、
①午前の他のDrの外来が遅くなり、二つある診察室が13:30すぎまで空かなくて開始時間が遅れたこと。
②13:30予約の患者さんに様々な問題が生じたため、その解決、手配にかなり時間がかかってしまったこと。
③その後も今日に限って、精密検査が必要な患者さんが続いてしまい、以前の写真と比較したり、検査のオーダーに時間を要してしまったこと。
④予約数が多めだった(27人)こと。
でした。

結局、その患者さんは15:30(〜16:00)の枠だったのですが、早めの15:00に病院に来院され、診察に入ったのは16:30少し前だったため、診察が終了したあとで、”こんなに待たされるならもう来ません”と怒って次回の予約をせずに帰られてしまったとのことです。予約票には、予約時間が15:30となっていますが、実際は15:30から16:00までの間の3-4人のうちの一人ですので、30分くらいの遅れだったのですが、予約時間よりも早く来院されたこともあって、すごく待たされた気持ちになってしまったのだと思います。

まったく休憩も無駄話もせずに夢中になって外来をしていても、このようなケースが起きてしまうととても落ち込みます。
きっとその患者さんが発していた怒りのサインに気づけなかったから、このような結果になってしまったのだと思います。看護師や私に、もう少し気配りがあれば違ったのかもしれません。いつもならお待たせしてしまった場合には、”お待たせしてしまってすみません”と言うようにしているのですが、この患者さんの場合は、細胞診の結果の説明の仕方に気を取られてしまって、声をかけれなかったのは確かでした。

自分では頑張っているつもりでいても、患者さんに伝わらなければなんにもなりません。
反省です…。

8 件のコメント:

てらだまゆみ さんのコメント...

こんにちは。以前、乳がんと一緒に髄膜腫が見つかったと書き込みしたまみっちです。
私の通院先では2時間待ちも珍しくありません。自分の初期治療中には、転移疑いがあったためドクターを質問攻めにして診療時間を長引かせてしまいました。先生は嫌な顔もせず相手にしてくださいましたが、他の患者さんには悪いことしました。今は幸いほぼノートラブルなのでさっさと失礼するようにしています(笑)。
患者の私が言うのもヘンですが、日本の医療従事者は働き過ぎ、大変すぎだと思います。先日、NPO法人キャンサーネットジャパン(CNJ)主催の臨床試験に関するセミナーを受けたのですが、アメリカで10年経験を積まれた腫瘍内科医のドクターが、日米の医療事情を比較した話をしてくださり、衝撃的でした。CNJのサイトにビデオライブラリーとしてアップされていますので、もしご興味があれば見られます。下記リンク先の右側上から2コ目のビデオ、40分過ぎからの大山先生の話です。
http://mslive.extide.mediasite.co.jp/Service/Catalog/?cid=1d2c9255-c576-4702-8c69-95349b41cc67

hidechin さんのコメント...

まゆみさんへ

せっかく予約しているのに長く待たされるのはつらい、でもゆっくり話を聞いてもらいたい、というのは矛盾していますがどちらも正直な患者さんのお気持ちだと思います。
日本の医療事情(医師不足、診療報酬の問題など)が3分診療などの問題を生んでいるんだと思います。
できることならゆっくり患者さんとお話ししたい、でも待っている患者さんのことも気になる、これが大部分の医師の気持ちだということはわかって欲しいなと思うことはありますね。
大山先生のビデオは時間のあるときにゆっくり聞かせていただきます。
コメントありがとうございました。

陽 さんのコメント...

先生の誠意が伝わらず、残念に思います。
そしてそれを真剣に反省なさる先生なので、きっと他の患者さんには、お気持ちも伝わり、信頼されてることと思います。

どこの病院も、乳腺は、待つんですよね~
有名なS病院では、23時に診察ということもあると聞いたことがあります。
G病院で、私も2時間以上、待ったことがありました。
でも、次の方を待たせてしまったこともあったかもしれません。
乳がんと告げられたとき、G先生は、50分もお付き合いくださいました。
おかげで、大きく落ち込むことも、泣くこともなく、落ち着いて帰れたのだと思います。
感謝しています。
待つのはしんどいですが、患者としては、しっかり診ていただき、心ある診療を受けたいと思うものです。
hidechin先生は、その点、申し分ないと思います。


G病院では、新しくなってから、ずいぶん待ち時間が減りました。
時間通りで、お化粧直しもできなくて(主治医の先生が大好きなので、ちょっとはキレイにしていたいのです)あわてたこともあったくらいです。

それに大体の待ち時間の目安がわかるように表示されてるので、気持ちも楽です。
○○時現在、□番診察室、△△先生、○○時予約の患者さんを診察中ということが表になってるのです。

それにしても、先生、お忙しいですね。
午後だけで、30人の患者さんを診察するなんて、すご過ぎます。
でも、お人柄、にじみ出てますね。
先生の患者さん、うらやましいです。

hidechin さんのコメント...

陽さんへ

待ち時間の掲示は、整形外科は行なっているのですが、外科ではまだしていないんです。検討したほうがよいのかもしれませんね。
S病院では診察が23時になることもあるんですか?私がG病院に勤務していたころは、K先生はよく21時ころまで診察をされていました。K先生は、どんなに遅くなってもペースを守り、患者さんと時には余談も交えながらじっくりとお話される先生でした。夜中まで待つ患者さんも、まともに休みもとらずに診療を続けるK先生も、すばらしいと思ったものでした。
それに比べれば私の患者数などたいしたものではないです。できるだけお待たせしないというポリシーは守りつつ、何時間待っても診てもらいたいと患者さんに思っていただける、K先生のような医師になりたいと思っています。

開成人 さんのコメント...

そうですねぇ。私は医療従事者側ですが、待ち時間はとても難しい問題だと思います。どこの病院もがきちんと予約時間内に収まる人数で制限をしたなら、診療や検査を受けられる方の数が今の半分以下に減ってしまうと思います。歯医者さんのようなシステムにすればいいという意見を聞いたこともありますが、医療を受けられなくなる方がでてくると思います。要は絶対数がまだ足りないんですよね。いつも先生はとても丁寧に診察をされているのに患者様をあまりお待たせしていないと思っております。普段は待たないのに、イレギュラーが発生してたまたまお待たせしたときに苦情が出るのはやりきれませんが、先生の誠意を感じていらっしゃる方の方が圧倒的に多いと思います。

hidechin さんのコメント...

開成人さんへ

”どこの病院もがきちんと予約時間内に収まる人数で制限をしたなら、診療や検査を受けられる方の数が今の半分以下に減ってしまうと思います。”

→まさにここが頭の痛い問題なんですよね。乳腺外科だけの問題だけでなく、どの科にも共通する問題だと思います。これは前政権下で、日本には医者が余っている、という間違った判断のもとで医師数の制限を加えたことが今になって大きく影響しているのだと思います。

とは言っても、医学生を増やしてすぐに解決することでもありませんから、頭を使って待ち時間対策の工夫をすることと、誠意をもって患者さんに対応していくことが大切ですね。

火田 さんのコメント...

患者の数や1人あたりに要する時間などを考慮しても、医師の負担は相当なものだと思います。
外来に手術に化学療法の管理と、寝る間もなく働いておられる医師には頭が下がります。

残念ながら、そういう努力は患者や家族には見えにくいが故に、待たされる不満につながるのだと思います。

システム化が進んでいる病院では「●分待ち」や「●分遅れ」等の表示システムが完備されていたりしますが、不安を抱えながらじっと待つしかない患者や家族にしてみれば、どうしても機械的で暖かみのないシステムだと感じます。

私の身内が現在治療のため通院している病院では、そういった不満や不安に対処するため、外来の受付や看護士が、遅くなりそうな患者一人一人に「あと●人ですので、もうしばらくお待ち下さい」ですとか「どれぐらい遅れそうなので、お食事でもしていらして下さい」等と口頭で伝えてくれます。

副作用等で体調の悪そうな患者がいれば、気づき次第、化学療法室の空き椅子等に案内されたりもします。

化学療法室に通うようになってからは、当日の受付時に(受付表を出す前ですら)「●●さんお早うございます」といった名前を呼んでの挨拶があります。

実は、こういった些細な事が、この病院で治療を受けたいと思った大きな要因の一つでした。

いくつかセカンドオピニオンも含めて病院をまわって見ましたが、ポケベル呼び出しや「●分待ち」の表示板等、インフラは整っていても、受診まで3時間以上まっても誰も声を掛けてもらえず、あとどれぐらい待つのか、待つのなら気晴らしに外に出られるのか、食事をしてきてもよいのか、それすら判らず、極度に不安であった印象しかありません。

チーム医療という概念は素晴らしいと思いますが、単に縦割りになってしまっては意味がありません。

医療もサービス業だと言うつもりは毛頭ありませんが、やはり人と人が接する以上、さらに、性質上大きな不安を抱えた患者や家族がくる以上、ちょっとしたコミュニケーションの有無で、ストレス度合いが変わってくるもだと思います。

私の身内の通う病院では、医師、看護士、臨床心理士、その他スタッフが本当の意味で連携が取れ、それぞれが1人1人の患者に対して心配りができているように感じますし、おそらくは病院の方針なのだと思います。

システムやインフラに頼らずとも、待ち時間が延びそうであれば、受付や看護士と連携し、ちょっとした声かけを行うだけでも、ストレス改善の余地があるかもしれません。

hidechin さんのコメント...

火田さんへ

おっしゃるとおりだと思います。医療従事者と患者さんは人間同士のおつきあいが基本ですから、システムやマニュアルに頼るのではなく、思いやりを持って接するのが何よりも重要だと私も考えています。

ただ、気持ちは十分に持っていても、看護師の数に十分な余裕があるわけではなく、複数の業務をこなしながらすべての患者さんに目配りするのは限界があります。
当院の整形外科外来では番号掲示を導入していますが、”だいたいの目安になるから、昼ご飯を食べに行ったりできるので前より良くなった”、という意見も聞かれています。

番号掲示や待ち時間の表示を導入するかどうかということより、例えば番号掲示を導入したからといって、患者さんが体調が悪いのに順番が来るまでずっと待たせてしまったり、患者さんが状況を確認するために看護師に声をかけたら、”順番まで待ってください!”などという冷たい対応をしないで、できる限りの目配り、心配りを忘れないということが大切なのではないかと思います。