2009年10月25日日曜日

乳癌検診普及のジレンマ

無料クーポン券の影響なのか、最近乳がん検診受診者が急増しています。

私はいま二つの病院の外来に出ています。週2回、外来に行っている関連病院でこの2週間に読影した検診のマンモグラフィ数は141件。昨年のほぼ2倍です。土曜日(10/17)の検診単位が1単位(約20件)ありますが、この間の外来数(他の医師の一般外来も含めて)は、のべ10単位ですので、検診を除いても1単位あたり10件以上の検診が一般外来に含まれたことになります。予約患者さんの間に混ざることになりますので、こなすのはなかなか大変です。

うちの病院では、検診のマンモグラフィは私を含めた二人の読影医で2重読影で診断しています。ですから私はすべてのフィルムに目を通さなければなりません。これらのマンモグラフィは、週2回の外来日の朝に読影しています。外来にまだだれも来ていない7:45ころから、カルテ診(データチェックや手紙を書く仕事など)を終えたあとで読み始めるのですが、ここ2週間は外来の始まる9:00までに読み終えることができなくなってしまいました。結局、外来が終わったあとに残りを読んで、本拠地の病院に移動しています。

検診受診者数を増やしたい、と願って、ピンクリボン活動にも取り組んでいますが、これからさらに増えるのなら、本格的な対策を考えなければなりません。他の病院も同様だと思いますが、乳腺外来は飽和状態になりつつあります。受け皿(乳腺外科医、マンモグラフィ読影医)の確保を早めに検討しなければ、検診に何ヶ月も待たなければならない状態になりかねません。

後継者対策については、かなり前から院長にも外科の最高責任者にも伝えてありますが、外科全体、というより医師数全体が不足している中で、なかなか話が進んでいません。検診を増やしたいけど受け入れるのが難しくなっているジレンマと、多忙による見落としの恐怖に悩まされる今日このごろです。

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