2010年6月10日木曜日

TBSへの抗議〜20~30代女性を対象にした乳がん検診を中止するよう求める要望書を提出

朝日新聞をご覧になった方もいらっしゃると思いますが、以前にこのブログでもTBSがバックアップするさくらパンダ前線キャンペーンの問題点を指摘したことがありましたが、ついに昭和大学医学部教授(元聖路加病院)の中村清吾先生らがTBSに正式に「20~30代女性を対象にした乳がん検診を中止するよう求める要望書」を送る事態になってしまいました(http://www.asahi.com/health/news/TKY201006090607.html)。

若年者に乳がんの啓蒙をすることはとても大切なことであり、「余命1カ月の花嫁」の主人公の遺志を伝えるという意味では、完全にこのキャンペーンを否定する気はありません。むしろ貢献も大きかったと思います。

ただ、マスコミが十分なエビデンスを確認せずに、誤った情報を一般の人々に植えつけてしまったことは問題でした。乳腺専門医の意見を聞いた上で行なったキャンペーンなのかどうかは不明ですが、結果的には主人公の遺志に反する結果となってしまいました。とても残念なことだと思います。

ただ、今年はエコー検診を導入したようですので、若年者に対するマンモグラフィの問題点についてはどこからか伝わっていたのかもしれません。私個人的にはエコー検診は非常に有用だと思いますが、その効果については現在臨床試験で確認中の段階であり、エビデンスがあるわけではありません。また精度管理上の問題はマンモグラフィ以上にあります。ですからこの検診も気をつけないと必ず見落としや拾いすぎ(要精査率が高くなりすぎる)の問題が出てきます。現段階で安心してお勧めできる状態までにはなっていないことを理解した上でこのキャンペーンを利用しなければ、せっかくの試みも逆効果になってしまうかもしれません。

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