2010年7月28日水曜日

乳癌の治療最新情報19 アブラキサン認可!

現在、進行再発乳癌の治療や術前化学療法として使用されているパクリタキセルは、溶解性が極めて悪いためポリオキシエチレンヒマシ油(クレモホールEL)という特殊な溶解剤とエタノールを使用しなければなりません。

そのため,過敏症反応の出現が問題になり,ステロイド,H1拮抗薬,H2拮抗薬による前投薬を行わなければなりませんでした。また,投与に当たっては,特殊な点滴セットを使用しなければならないという問題もありました。

アブラキサンは,パクリタキセルをアルブミン結合することにより溶解性が向上し,クレモホールとエタノールを必要としないナノ粒子化した懸濁製剤で,欧米の臨床試験で,従来のパクリタキセル製剤に比較して有用性が高いことが証明され,既に欧米で承認されています。
日本では,大鵬薬品が臨床開発を進め、今年の3月に厚生労働省に承認申請をしていましたが、今回正式に認可されたということです。

アブラキサンはパクリタキセルに比べ投薬作業を簡便にできるほか、点滴時間を縮められるため患者さんの負担を減らすことができます。また、パクリタキセルの場合には含有するエタノールによって酩酊状態になる方もいましたので、外来で投与する場合には自家用車では来ないように指導してきましたが、アブラキサンの場合はその心配も不要です。

一定数が集積されるまで全症例を対象に使用成績調査が必要ですが、外来で投与するにはとてもありがたい治療薬になりそうです。

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