2010年9月10日金曜日

マンモグラフィ撮影時の制汗剤使用は要注意!

今年の夏は暑かったですね〜。札幌はようやく朝晩は涼しくなってきました。道外ではまだ残暑が厳しいのでしょうね。

ところで暑い夏、女性にとって必須のアイテム、制汗剤。最近ではS社製の銀(Ag)イオン入りのものが人気だそうですが…。

実はこの銀イオン入りの制汗剤はマンモグラフィ撮影時には要注意です。先日も疑わしい症例が1例あったのですが、このタイプの制汗剤は、マンモグラフィで見ると、まるで微細石灰化のように見えるのです。両側に均等にかかると、制汗剤ではないかと疑いますが、片側だけ残っていると、要精密検査と判定されてしまうことがあります。両側だったとしても、逆にその中に本当の石灰化が紛れ込んで写ってしまうと判断を誤ることにもなりかねません。

ですからマンモグラフィ撮影時には銀イオン入りの制汗剤は使用しないようにして下さい。

その他に、マンモグラフィ撮影時に留意したほうが良い点は、

①脱ぎ着しやすい服装にする(ワンピースは避ける)
②ネックレス(特に長いタイプ)はあらかじめ外しておき、髪が長い場合にはまとめておいて撮影の妨げにならないようにする
③狭心症などに使用するシールタイプの添付剤は胸部に貼らない(狭心症の薬であったとしてもおなかに貼っても胸に貼っても効果は同じです)
④ペースメーカー、人工乳房などの人工物が埋め込まれている方は主治医に許可を得ておく(基本的にはペースメーカーを埋め込んでいる方は断線の恐れがあるためマンモグラフィは推奨されません)
⑤妊娠の可能性がある場合は、はっきりするまで見合わせる

などです。

また乳房形成を受けた方(脂肪注入も含む)、良性腫瘍の摘出手術や乳腺炎の切開術を受けたことがある方は、診察医に必ず知らせて下さい。これらが、悪性の所見と判断されてしまうことがあるからです。

10 件のコメント:

Martha さんのコメント...

hidechin先生

制汗剤は気をつけないといけないのですね。
そう言えば、MMG読影講習会でも制汗剤を付けて撮影されたフイルムを見せてもらいました。(その時は、特に銀イオンに言及はされてなかったと思うのですが...)
確かに、両側にあると制汗剤かな..?と思えますが、片側だけだと分からないですね。

以前、健診を受けに行った時にウェットティシュで腋の下を吹くように言われましたが、拭き取るのもかなり気をつけないといけないのでしょうね。

質問ですが、銀イオン入りでない制汗剤ではどうですか?明らかに制汗剤と分かるような写り方ですか?それとも写らないのですか? 

hidechin さんのコメント...

>Marthaさん
鋭いご質問ですね〜(汗)。
実はこの質問を予測して、いろいろ調べてみたのですが、例えばK社の○×4のQ&Aには特別記載はありませんし、HPの成分表示には「消臭緑茶エッセンス、殺菌成分、消臭パウダー配合」としか書いていません。これらの成分の中にマンモグラフィに写るものがあるのかどうかは確かではありません。ただ、今まで話題に上っているのはAg配合のものだけではありますが…。今度機会があれば調べてみます。
なお、S社のAg+には、銀だけではなく、亜鉛も入っているようです(銀含有ゼオライト=銀、亜鉛、アンモニウム担持ゼオライト)。

Martha さんのコメント...

hidechin先生

回答ありがとうございます。
なかなか難しいですね〜。

『乳がん検診を受けるときは制汗剤は付けない』と言うことをもっとアピールしないといけないですね。

あとはマンモグラフィーに写らない制汗剤の開発をしてもらわないといけませんね。(銀イオンは強い殺菌力があるようですが....)
K社などはピンクリボン活動も行なっているようですしね。

hidechin さんのコメント...

>Marthaさん
よくご存知ですね!でももしK社製の制汗剤がマンモグラフィに映らないならそこをHPでアピールしておいて欲しいところですね。
マンモグラフィはせいぜい年1回ですし、Agは制汗剤としては優れているようですから、身体に害がないのであればAg含有はかまわないと思います。ただ、「マンモグラフィに映るので、検査の時は使用しないようにして下さい」という注意書きをすべきだと思っています。

Martha さんのコメント...

hidechin先生


そうですね。K社には是非そこのところ、はっきりさせてHPなどでアピールしていただきたいですね。

乳がん検診を受けるときって、マンモグラフィーや超音波検査で腋の下をさらけ出すんだな..と考えると、女心としては、逆に入念にケアをしてくる人も多いのではないかなぁと考えますが...すると、ふだんより余計に制汗剤が付いていたりして? 

やはり、健診の際は制汗剤を付けずに!のアピールは大事ですね。

陽 さんのコメント...

いつも有益な情報をありがとうございます。

制汗剤にこんな落とし穴があるなんて、知りませんでした!
私も、今年は、銀イオン入りのシートタイプを使っていました。
たまたまマンモの時には使っていなかったので、セーフ!
それに全摘なので片側しかマンモを撮影しませんので、左右均等にとなりませんから、より気をつけたほうがいいですね。

早速、ブログにて、患者仲間のみなさんにお知らせしました。
事後承諾をお許しください。

mafu さんのコメント...

私の病院では、マンモグラフィの検査の注意事項に「石灰化のように映ってしまう恐れがあるので、制汗剤を使用しないでくだい」のような記載があります。
先日、乳がん仲間のおしゃべり会で、その話題をしたのですが、私の病院以外ではそのような話はないそうです。
先生のブログで、また思い出しましたので、会のブログに先生のブログをリンクさせていただきました。
区の検診の案内にも記入した方が良いですよね。

hidechin さんのコメント...

>Marthaさん
私たちも制汗剤についての技師への周知が不十分だったかもしれません。チェック項目をマニュアル化したり、ポスターで患者さんにもあらかじめお知らせするなどの工夫が必要かもしれませんね。

hidechin さんのコメント...

>陽さん
普通、こんなこと一般の方はご存じないですよね。医療従事者でさえほとんど知らないと思いますよ。
事後承諾なんてお気になさらずに!お知らせいただきありがとうございます!

hidechin さんのコメント...

>mafuさん
mafuさんの病院では対応をきちんとされているのですね。でもまだ多くの病院、検診施設では周知が徹底されていないのではないかと思います。区の広報に載せるのも良い方法ですね!