2010年9月24日金曜日

定期検査で発見される乳がん

乳腺症などで定期的に乳房検査していると、一定の確率で乳がんが見つかります。

そういうときに、
”どうして前の検査では見つからなかったんですか?”
と患者さんに言われる事が時々あります。

お気持ちはわかりますが、冷静に考えてみると、もし半年(1年)前に発見できたとしてもやっぱり
”どうして前回は見つからなかったんですか?”
と言う気持ちになったはずです。どんなに注意深く観察しても検査には限界があるのです。

そういう時には、
”定期的に検査をしていたから、こんな小さな状態で自覚症状が出る前に見つかったんですよ!”
とお話するようにしています。

以前調べた「発見契機別の乳癌の特徴」の結果では、発見時のがんの平均の大きさは、「有症状群」>「検診発見群」>「定期検査発見群」の順番でしたので、やはり定期検査、特に超音波検査は小さな腫瘤の発見には非常に有用です。定期的な検査をする場合、治癒率が非常に高い1cm以下の状態で発見することを目標にしています。もちろん非浸潤癌の状態で発見するのがベストですが、がんの性質もありますのですべてを非浸潤癌で発見するのは困難なのです。

しかし、定期的に検査していても1cm以上で発見されることはあります。それでもほとんどは2cm以下ですので90%程度は治癒しますが、この場合は前回の検査で本当に指摘できなかったのか反省することもあります。もちろん、増殖スピードが早いタイプ(トリプルネガティブやER陰性・HER2陽性の場合など)の場合には、1年の間に検出困難な5㎜以下から2cm近くまで増大することもあります。

この手のタイプのがん全てを早期発見(特に1cm以下)するのは、通常の2年に1回のマンモグラフィ検診ではもちろんですが、年1回の超音波検査を併用しても困難かもしれません。だからと言って検診対象者全員に対して半年に1回の超音波検査を併用するわけにもいきませんから難しいところです。とりあえず今できることは、小さな腫瘤や引きつれなどの微妙な変化を見逃さないように検査技師と医師の読影力を上げる努力を継続することしかありません。症例検討会や研究会、学会を通して力量アップにチームで取り組んで行きたいと思っています。

4 件のコメント:

Martha さんのコメント...

hidechin先生

本当にそうですね。
なるべく小さな時に、浸潤していない状態で見つけてあげたい...そんな気持ちで日々検査をしていますが、肩に力が入りすぎて、何でもかんでも引っかけすぎないように、読影力を上げていかないといけません。
本当に難しいです。
日々勉強です。

hidechin さんのコメント...

>Marthaさん
いつもコメントありがとうございます。
見落とさない事と拾いすぎない事、この二つのバランスって難しいですよね。
お互いがんばりましょう!

gtsk さんのコメント...

はじめまして乳がん1年生の40才@東京です。
このサイトを知ってから情報を得ることで不安が軽減されています。
患者にもわかりやすく、また簡潔にまとめられた内容、UPする時間を割いていただいている先生に感謝します。

さて私も定期検査中に腫瘍径0.5㌢以下で見つかりました。(術前はDCISでしたが)
早期発見と思わねばですね!

hidechin さんのコメント...

>gtsk さん
0.5cm以下は十分に早期ですよ。定期検査を受けていて良かったですね!
ただ、まだ人生は長いですので残した乳房内にも反対側の乳房にもがんができる可能性があります。
これからも定期検査を受けて下さいね!