2011年8月19日金曜日

タキサン系抗がん剤とアルコール

ドセタキセル(商品名 タキソテール)やパクリタキセル(商品名 タキソールなど)などのタキサン系抗がん剤には溶解液としてエタノールが添加されています。ただ、ドセタキセルに関してはブドウ糖溶液でも溶解可能です。

アルコールが添加されている場合に問題になる点が2つあります。

まず、アルコール過敏症の方には投与できないということです。疑いのある方はアレルギーの発生に注意が必要です。

二つ目は、お酒と同じですので酔っぱらってしまう可能性があることです。入院中であれば問題ありませんが、外来での投与の際は、運転しないほうが無難です。特にパクリタキセルの場合は、下記のようにエタノール含有量が多いので、酒気帯び運転になってしまう可能性があります。この換算も口から飲んだ場合と血管に直接入る場合とは若干効果が違うかもしれません。実際、少量のエタノールしか入っていないドセタキセルでも酔っぱらったようになる方もいらっしゃいます。

先日の院内の癌化学療法委員会でドセタキセルの新しい製剤、「ワンタキソテール」について報告がありました。これは最初からドセタキセルがエタノールで溶かしてある製剤です。今までは薬剤師が薬剤と溶解液を毎回混ぜて調整していましたので、薬剤師の手間は省けるのですがエタノール含有量が今までの2倍以上ですので注意が必要です。さらにアルコール過敏の方には最初から投与することができない(ブドウ糖液で代用できない)という問題点もあります。

いずれにしてもこれらの薬剤の投与を受ける場合には、車の運転が可能かどうか主治医に必ず確認するようにして下さい。

<タキサン系抗がん剤のエタノール含有量(抗がん剤100mgあたり)>
・タキソテール注→ビール25ml
・ワンタキソテール注→ビール56ml
・パクリタキセル注→ビール166ml

例)体表面積1.5㎡の女性にWeekly Paclitaxel療法(3週連続投与、1週休薬)を行なう場合、約120mgのパクリタキセルを投与しますので、ビール換算で199ml(ほぼコップ1杯)になります。

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