2011年9月19日月曜日

乳腺センター開設〜もうすぐ半年経過〜

10/1に病院診療管理者の合宿があります。ここでセンター化半年の総括をすることになりました。私はその日は乳がん患者会の温泉旅行と重なっていて出席できないため、文書報告とさせてもらうことになりました。先日その書類を作成してようやく提出したところです。

4月からのデータを分析してみると、手術件数は昨年同期の1.8倍に増加していました。市内の他の施設の先生方にお聞きしてみるとどこも増えているようですので、特別私たちの病院に患者さんが流れてきているわけではないようですが驚くほどの増加です。入院件数も収益も予算を上回っており、まずは良いスタートを切れたようです。

最近目立つのは、進行再発乳がん患者さんの増加です。この影響で化学療法やその副作用、病状悪化などによる入院が増えたため、手術患者さんのベッド確保が困難になってきています。今はなんとか他の 病棟のベッドを借りたりしてしのいでいますが、そろそろ根本的な解決策を考えなければなりません。

乳腺センターとしての医療活動は、ピンクリボン in SAPPOROやWith You Hokkaidoへの参加(これは毎年ですが)、検診センターへの訪問、乳癌学会への看護師の初めての参加と乳腺外科医3人の演題発表などがあり、10月以降も患者会温泉旅行、J.M.S(J.POSHが呼びかけた日曜日に行なう乳がん検診)、乳癌検診学会での超音波技師3人の演題発表、地域住民への乳がん啓蒙講演会、乳がん患者会講演会などを行なう予定になっています。

さて来年は今年乳腺外科医の仲間入りしてくれたN先生が研修に出ることになりそうです。今のペースで増加すると手術も病棟管理もかなり厳しい状況になるかもしれません。最近の症例の増加を見ているとうれしいですがちょっと心配になります(汗)

9 件のコメント:

A さんのコメント...

hidechinさま

こんばんは。
以前にご助言をいただいた事のある、Aと申します。

ますますのご活躍、何よりと存じます。
先生のような方がいらっしゃる病院に信頼を寄せる患者さんが増えるのは当然でしょうね。
ますますお忙しい日々かと思いますが、お身体ご自愛くださいませ。
(ほんとは、病気の人が減るのが一番なんでしょうけれど・・・)

さて。この度も、ご質問をしたくてコメントをしています。
私の大切な友人に乳がんが見つかり、手術をしたのですが、がんがかなり育っていたようで、全摘出とリンパ節40個ほど切除しました。鎖骨より上にも転移している細胞があるらしく、そちらは取りきれずに現在化学療法を行っておりまして、今後に放射線治療を控えております。

FEC療法の3回目を終え、味覚の麻痺と点滴をした腕の痛みを訴えておられます。
腕の痛みに関しては、始めは点滴を射した部位から、その上の血管、徐々に腕全体に鈍痛が広がっているようです。見た目には変化はありませんが、点滴をした部位は血管がコリコリ固くなっているようです。
主治医は、「点滴をしたらみなそうなる」と言って、炎症を抑える塗り薬や湿布を処方されるだけで、あまり親身に取り合ってくれないようです。
他にも同じ治療を受けている患者さん仲間も、同じような副作用に苦しんでおられるようです。
点滴をする度に、痛みが増しているようで、次はどこの血管に打つのだろうか?もう点滴できる血管が残っていないのだろうか?と新たな不安が芽生えています。

味覚に関しては、「仕方ない」とあきらめモードなのですが、化学療法の合間の元気な時のお食事までもがおいしく食べられないのは、本当に辛いと思います。
今後に続く長く厳しい治療も、どんな副作用にも辛抱していかなければならないのか思うと、何のお手伝いができるだろうか?と、胸を痛めています。

今回の記事にもありますように、化学療法の副作用や症状の悪化の方が増えているとの事。
あきらめてはいけないのは重々承知なのですが、ほどほどにQOLを保ちつつ、治療を継続する術はないものでしょうか?
私の友人も、再発のリスクは非常に高いものだと思います。化学療法を上手に乗り越えていけるアドバイスや、そのようなサイトなどがあれば教えていただけないでしょうか?

無茶な質問をしてすみません。
何かよきアドバイスがございましたらよろしくお願いいたします。

Aより

hidechin さんのコメント...

>Aさん
こんばんは。
味覚障害はなかなか治療が難しいです。以前にここでも書きましたのでご参照下さい(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.com/2009/06/blog-post_05.html)。
点滴した血管周囲の痛みと硬結は、エピルビシンによる血管炎が原因だと思われます。エピルビシンは組織への毒性が強いので血管炎が起きやすいのです。予防法は生理食塩水を流しながら投与するなどの方法が おこなわれますが完全に予防できるわけではありません。一番良いのはCVポートという器具を留置してそこから薬剤を投与することです。ただ、再発治療と異なり、回数が決められている術後補助療法でこの器具を留置するのは抵抗がある方が多いようです。残りの回数を考えて検討してみてはいかがでしょうか?(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.com/2010/04/cv.html)
他にもこのブログの「抗癌剤の副作用」のラベルから検索すると副作用についていろいろ書いていますので読んでみて下さい。「コンセンサス癌治療」というサイトにも重篤な副作用についての記載があります(http://www.cancertherapy.jp/sideeffect_manual/index.html)
また、化学療法中の食事については、http://survivorship.jp/のサイトが参考になると思います。
化学療法は大変だとは思いますが、まずこの治療がご自身にとってとても大切な治療だと信じて受けることが非常に大切です。治療の意義について疑問を感じながらの治療はよけいにつらいものです。疑問があれば主治医に確認しながら続けるようにお伝え下さい。

A さんのコメント...

hidechinさま

お忙しい中、早々のご返信ありがとうございます。

私達は病院のないちいさな南の離島に住んでいまして、病院へ行くにはバスや船を乗り継いで行けなければならず、そこも専門の医師がいる訳ではなく、しっかりとした施設ではありません。
手術や化学療法などの大きな治療に関しては、飛行機に乗ってまた別の大きな病院へ通っています。

相談できる方が近くにおらず、ついこちらに個人的な質問をなげかけてしまいました。

お食事に関しては、書籍やHPなどを参考にして、いろいろとトライするものの、なかなかうまくいかず、光を求めておりました。

ご回答いただき心より感謝いたしております。

もう一度、じっくり読ませていただきます。

ありがとうございました。

A

なつ さんのコメント...

hidechin先生

初めまして。なつと申します。

いつも拝見させて頂き、とても参考にさせて頂いております。
初めて質問させて頂きます。
よろしくお願いいたします。

5年に右乳ガン、温存、
トリプルネガティブ、グレード3、脈管侵襲あり、断端陽性、リンパ節一個転移ありで
術後化学療法(EC4+タキソ4)、放射線30グレイをしました。

今回、左乳ガン(原発・一部軟骨成分伴う浸潤ガン)、全摘、トリプルネガティブ、
グレード1、脈管侵襲なし、断端陰性、
リンパ転移なしでした。
初めは抗がん剤をやるような感じで言われていたのですが、
病理結果後、内容的にも主治医から抗がん剤をしなくても良いのでは?と言われました。
自分としてはする気でいたのですが、するメリットもないと言われ悩んでます。
私事ですが、5年前の32歳の時から5年を無事に迎え、結婚もしてこれから
妊娠を・・・と考えてた矢先の今回の出来事だったのですが、
やはり今後妊娠を考えているので、抗がん剤をしない方が良いのか、凍結して抗がん剤をするかを悩んでいます。
母も12年前乳がんになり、祖母は卵巣がんで亡くなってる為、家族性乳がんと言うことと(遺伝子検査はしてません)
トリプルネガティブ・両側異次性乳がんを考えると、無治療は怖いし、でも妊娠を・・・と思うと悩んでます。
主治医は一回抗がん剤をやってるし、予後も良さそうなガンのタイプだから、メリットもないし、
化学療法しなくても良いのでは?とのことですが、私がしつこく言ってるもので、やるならECかゼローダと言われました。
ECは一回やってる為、効き目がなさそうだから、やるならゼローダが良いのでは?と言われました。
もし、今後再発転移した際に、今回ゼローダを使ったら、もう使えなくなりますか?
あと、ゼローダは卵巣機能障害にはなりませんか?

無治療になった場合、どれくらい経ったら妊娠は可能ですか?

どちらかと言えば、先生も抗がん剤をやらなくても良いと思われますでしょうか?

お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願い致します。

hidechin さんのコメント...

>Aさん
離島にお住まいなんですか?それは大変ですよね…。
もしこのブログを読んで、さらにお聞きになりたいことがあればコメントして下さい。過去の記事に関するところにコメントしてもこちらではわかりますからね!
それでは。

hidechin さんのコメント...

>なつさん
はじめまして。
軟骨成分を伴うトリプルネガティブというのは、軟骨化生を伴う特殊型のがんということでしょうか?病理結果を詳細に直接確認していないのでこのことに関するコメントは難しいのですが可能な範囲でお答えします。

一般的にはトリプルネガティブには抗がん剤は必須です。今のところ化学療法の絶対条件から除外可能なのは、非浸潤がんや5㎜以下の浸潤がん、そして髄様がんや腺様嚢胞がんなどの予後が良い特殊型でリンパ節転移がない場合などです。St.Gallen2011では、なつさんのような化生がんもn0なら化学療法を省略できるとありますが、一般的に化生がんの場合は腺様嚢胞がんのように非常に予後が良いがんとは異なります。増殖スピードが早い場合も多いですので、予後が良好とは言えません。骨軟骨化生を伴うがんもこの範疇に入ります。ただし軟骨成分を作るMatrix-producing carcinoma (MPC)というタイプは化生がんの中でも予後は良好と言われていますので、なつさんはこのタイプだったのかもしれません。

また、ゼローダの適応は、「手術不能または再発乳がん」であり、術後補助療法としては認められていません。今回の乳がんは再発ではなく原発性異時両側乳がんだと思いますので、適応外使用になりますし、そもそもエビデンスがありません。ECは、エピルビシンの総投与量が許容範囲内で行なえるなら、5年たった対側の乳がんであれば無効とは言えませんし(再発なら通常使用しません)、再投与可能だと思います。他にはCMF療法、TC療法を行なうという手もあります。ただし、CMF療法は卵巣機能低下のリスクが非常に高いです。TCの卵巣機能に関するデータは不十分かと思いますが、閉経の可能性は十分にあると思います。

受精卵の凍結保存については化学療法を行なうのであれば検討しても良いと思います。ただどこでもできるわけではありませんし、成功率も必ずしも高いわけではありませんので、専門医からあらかじめ十分な説明を受けた上で化学療法を行なうかどうか、凍結保存をするかどうかを判断される方が良いと思います。

無治療の場合は妊娠時期はいつでも問題ないと思います。そもそもホルモンレセプター陰性ですので再発に関する悪影響は考える必要はないと思います。

私がお話しできるのはこのくらいです。できれば主治医と十分に時間を取ってご相談することをお勧めします。

A さんのコメント...

hidechinさま

温かいお言葉ありがとうございます。
先生のブログはとてもわかりやすく、また最新情報などもお知らせしてくださっているので、よいブログに巡り会えたと喜んでいたところ、コメントにも返信をくださり、とても心強いです。

私は、もともとの出身なのですが、この島やその近くの島の医療事情はかなり悲惨だと思っています。
北海道の僻地も同じような場所があるかと思いますが・・・

また質問させていただく事があるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

ご配慮ありがとうございました。

A

hidechin さんのコメント...

>Aさん
北海道も医療がある程度充実しているのはごく一部の都市部だけです。なかなか地方の医療事情は厳しいようです。
Aさんの場合は交通事情も厳しいようですので単なる地方というのとは別の困難がありますよね。ネットからの情報を頼りにせざるを得ないお気持ちはよく理解できました。
もしなかなか会えない主治医に質問などがあればメモをしておくと良いですよ。
それではお大事に!

なつ さんのコメント...

hidechin先生


こんにちは。
なつです。
先生、早速のお返事ありがとうございます。
感謝いたします。
週末、39.2の熱を出してしまい、お返事がおそくなり申し訳ありませんでした。

軟骨成分を含むのは、一部みたいなので
基本的には乳頭腺管ガンらしいです。

腫瘍内科医にセカンドオピニオンをし、
主治医と相談したいと思います。

ありがとうございました。