2010年7月10日土曜日

第19回北海道乳腺診断フォーラム

昨日ホテルポールスター札幌で乳腺診断フォーラムが行なわれました。この会の運営委員になっていることもあり初回から参加していますが、いつのまにか19回…。いつもうちの病院からも乳腺外科医、病理医(今回は欠席しましたが…)、超音波検査技師、放射線技師の10人ほどで参加しています。当初年2回でしたが昨年から年1回になってしまい、少し寂しく思っています(終了後の懇親会を心待ちにしている職員も多いんです…笑)。

この会は、症例検討を2例(たまに3例)行なったあとで、全国の著名な先生をお招きしてご講演をいただいています。

<症例①>
マンモグラフィ上、FAD(局所性非対称性陰影)に構築の乱れを伴っているように見え超音波画像上も悪性(非浸潤癌)を疑う所見でしたが、結果的には乳管内乳頭腫だったという1例でした。

<症例②>
境界明瞭な腫瘤を3個マンモグラフィ上認めましたが、2個は外側、1個は内側でかなり離れていました。一見嚢胞などの良性を考える所見ですが、超音波画像上は内側の1個は嚢胞性部分をわずかに伴う境界明瞭な軽度高エコー腫瘤(粘液癌様)、外側は嚢胞内腫瘍と不整形の腫瘤でした。一連のものと考えるかまったく別ものと考えるかが難しいところでしたが、結果的には全てが乳管内で連続している非浸潤癌主体の浸潤性乳管癌でした。

<講演>
「乳腺画像診断の変遷-自動超音波とMRIを中心に-」
亀田総合病院乳腺科部長の戸崎光宏先生のご講演でした。最新の診断技術についてと欧米の診断基準や検査の進め方と日本の考え方の違いについて詳しくご説明していただきました。欧米のいわゆる”世界基準”が日本人にとってベストなのかどうかという疑問は抱きましたが、欧米のデータに基づくクリアカットな考え方については勉強になりました。

自動超音波やMRが乳がん検診として普及するかどうかはいろいろな問題点をクリアしなければなりません。その有効性については間違いないと思うのですが、費用や検査時間、診断基準の標準化などまだしばらく時間がかかりそうです。また、これらによってマンモグラフィ検診がなくなるかもしれませんし、超音波診断技術も今まで積み上げてきた経験の半分くらいが役に立たないものになっていくかもしれません。そのうち診断もコンピュータがすべて判定してくれる時代が来るでしょう。アナログ世代、巨人の星をみて育った根性世代の人間としては少しさみしいような気もします。

4 件のコメント:

Martha さんのコメント...

hidechin先生

ご無沙汰しています。乳腺診断フォーラムお疲れさまでした。

戸崎先生の講演があったのですね。去年私の県の診断フォーラムでも戸崎先生を招いての講演がありました。
MRIガイドラインとBI-RADS-MRIの話しや、ハイリスク者のMRI検診の話しもされました。

5月にあった超音波検査学会では超音波自動スキャンの話しをされました。
最初は自動スキャンなんて...と思っていたのですが、戸崎先生の話を聞いていると、もしかしたら近い将来1次検診は超音波自動スキャンに置き換わる可能性もあるのでは?と思ってしまいました。
乳房のすべての画像のデータを取り込むことができ、MRIやCTなどと連動させることもでき、後からいくらでも画像構築ができると言うのは、もう私の知っている超音波検査を超えていると思いました。
新しいモダリティーと考えるべきなのかもしれません。

今まで頑張って勉強し、プローブを握って検査をしてきた者としては少し淋しい気もしますが、もし、将来1次検診で今のMMGのように全員に超音波検査を行なうことになれば、やはり検査の客観性ということが大事になるでしょうから、可能性はあるのかもしれません。ただ、費用面からいくとMR検診も、超音波自動スキャンもまだまだ乗りこえないといけない壁はたくさんあるのでしょうけど....

それでも、本心は機械には負けられないぞ!と言う気持ちも一杯なのですけど(笑)
1次は自動スキャン、精査は人が行なう時代が来るかもしれません。

hidechin さんのコメント...

>Marthaさん
おっしゃる通りだと思います。
客観性などの点からは検診としては自動スキャンのほうが良いのかもしれませんね。でも精査エコーの存在、価値は変わらないと思いますから、機械が人間に取って代わることはないはずです。引き続き超音波診断技術を磨く努力は必要ですよね。ドップラー、エラストグラフィ、MicroPure(firefly)などの超音波領域における技術的進歩は、非常に役に立つものではありますが、形態学の基本を忘れないようにしたいものです。超音波検査を乳腺診断にいち早く取り入れた日本独自の診断技術を軽視するような傾向があることが私には少し納得できない点でもあります。

匿名 さんのコメント...

uhb北海道文化放送・報道部の金浜と
申します。突然の書き込み失礼します。
現在、夕方に放送中のスーパーニュースでは
シリーズ「女のがん」と題して、
がんサポートプロジェクトを
スタートしました。
前回は「子宮頸がんワクチン」について
放送。次は「乳がん」を予定しており
取材を進めています。

無料検診クーポンのブログを拝見し
ぜひお話をお聞きしたいと思い
コメントを書き込みました。

お忙しい中、大変恐縮ですが
以下のメールアドレスまで
ご連絡を頂けますでしょうか?

uhbnews@uhb.co.jp

詳しくはメールでお伝えします。
ご連絡をお待ちしております。
よろしくお願いいたします。

uhb北海道文化放送
報道部 ディレクター
金浜 達也

hidechin さんのコメント...

>金浜 達也さん
わざわざコメントいただきありがとうございます。
私がどの程度お役に立てるかわかりませんが、とりあえずメールさせていただきました。