ここでも何度かご紹介しましたが(http://hidechin-breastlifecare.blogspot.com/2009/12/11.html、http://hidechin-breastlifecare.blogspot.com/2011/10/blog-post.html、http://hidechin-breastlifecare.blogspot.com/2011/10/blog-post_31.html)いよいよフェソロデックスが11/25に薬価収載、発売されることになりました(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001v6v3-att/2r9852000001v6yr.pdf)。
適応は、「ホルモン受容体陽性閉経後乳癌」で、術後補助療法ではなく、進行再発乳がんに対して使用します。この薬剤をずっと心待ちにしていた患者さんたちが何人かいらっしゃいますので、さっそく数人の患者さんに使用予定です。
問題は2つあります。1つは前回も書いた、両側の臀部に5mlずつもの薬剤を筋注しなければならないことです。想像しただけで痛そうです(汗)。せめて皮下注なら良いのですが、皮下脂肪に漏れると吸収が悪くなるのと硬結を作るので筋肉内に注入しなければなりません。
もう一つは薬価です。今回収載された薬価は、1本(250mg)50313円ですので、1回につき、100626円(の3割などの自己負担分)かかることになります。今日説明に来てくれた製薬会社の方に、「高すぎる!」ってごねましたが、彼が決めた値段じゃないので仕方ありません(笑)。また、「欧米人と日本人じゃ体格が違うんだから痩せた患者さんなら1本で良いのでは?」とお聞きしましたが、国内で承認されたデータは500mgの臨床試験に基づいていることと、欧米の70kg台の体重の患者さんたちと日本人の50kg台の患者さんたちの薬物動態を調べても有意差はなかったという事実に基づいているので半分量で良いとは言えないらしいです。また、添付文書上も250mgの投与についての記載がないため、保険で認められない可能性があります。
というわけでまたまた乳がん患者さんには経済的負担を強いることになってしまいそうですが、それを上回る効果が得られることに期待したいと思います。
7 件のコメント:
はじめまして。40歳の乳癌患者です。
先生の真摯な姿勢にいつも励まされています。
お忙しいなか恐縮ですがご相談があります。
昨年10月左全摘後FEC・ウィークリーパクリタキセル、今年9月よりノルバデックス
服用+リュープリン
術前のCTで左肺に2個・右肺に1個の小結節がありましたがPETには映らず、1年間経過観察後左肺の生検をしたところ、1個は肺腺癌・1個は良性でした。
右肺については、ホルモン療法の効果は3・4ヶ月位で現れると本で見たことがあり、その期間を待って変化がなければ生検を希望しています。
実は今年の夏に左の腋の下にしこりが2個見つかり(腋かリンパ節は手術時に郭清して11個中1個転移あり)、主治医は薬の効果を見る為残しておくというのですが、呼吸器外科の主治医は右肺の生検の前にこちらの生検を希望しています。
肺癌の転移の可能性は低いでしょうが、もしそうであれば肺癌の治療に影響するからだろうと思います。
主治医は乳腺専門ではなく、専門の方の考えをお聞きしたいのです。
宜しくお願い致します。
>匿名さん
はじめまして。
まず、左肺の腺がんは原発性肺腺がんなのですか?乳がんの肺転移は否定できたのですか?ホルモンレセプターは陽性であれば転移を強く疑いますが、陰性であっても転移は否定できません。原発巣がホルモンレセプター陽性でも転移巣が陰性に変化することがあるからです。原発性肺腺がんであれば、TTF-1染色が陽性になります。
これがはっきりしないとなかなかお答えしにくいのですが、原発性肺がんであることを前提にお答えします。
肺がんが腋窩に転移することはありえますが、きわめてまれです。しかも他の臓器やリンパ節に明らかな転移がないのにいきなり腋窩に来ることはまずありません。ですから、肺がんからの転移は考えなくて良いと思います。このリンパ節は細胞か組織で転移であることを確認されたのでしょうか?摘出するかどうかは別にして、細胞診で転移であるかどうかは確認はした方が良いのではないかと私は思いますが…。ちなみに私なら転移リンパ節であれば切除をお勧めします。局所コントロールの意味もありますが、ホルモンレセプターの情報も得られるからです。もちろん治療のターゲットという意味で残しておくのも一つの考え方です。このあたりは医師によって意見が分かれるかもしれません。
取り急ぎ以上です。
早速丁寧なご回答有難うございます。
私が北海道在住なら間違いなく先生の所へ転院することでしょう(^_^;)
原発性か転移性かとのことですが、病理診断で原発性肺腺癌でしたので間違いないはずです。
胸腔鏡手術をしたのですが、術中の迅速診断でははっきりせず、残念ながら肺癌の標準的手術は出来ませんでした。
ですからリンパ節郭清・診断はしていませんが、腫瘍の大きさからしてまず大丈夫だろうということで再手術は見送りました。
さて、更に質問になってしまい申し訳ありません。
腋のしこりを調べるには細胞診が一番簡単でしょうが、エコーでは7㎜と3㎜と小さいのですが可能でしょうか。
また、細胞診で乳癌の転移とまで分かるものなのでしょうか。
組織診の方が確実でしょうが、以前先生が書かれていた
>針の穴から局所再発する可能性がある
というのがひっかかり、それならすっきり切除を選択しますが、細胞診で済めばそれにこしたことはないので・・・宜しくお願い致します。
癌患者になって思ってたより辛いのは、病院や医師によってそれぞれ方針があるようですし、どれを選んでも正解はないようなところでしょうか。
決めるのは患者で、いかに希望を上手く伝えられるかどうかなのでしょうね。
幸い私はどちらの主治医も話しやすく恵まれています。
先生にもお仕事でもないのに親切に相談にのって頂いて本当に感謝しています。
>匿名さん
細胞診で肺がんの転移か乳がんの転移かは診断が難しい場合があります。しかし縦隔リンパ節郭清をしなくても良いくらいの早期の肺がんが腋窩に転移することは考えにくいですので、あるとしたら乳がんの転移だと思います。細胞診でがん細胞が採取できたら乳がんの転移と判断して良いと思います。ただし、がん細胞が採取できなくても完全に転移は否定できません。なおその大きさの腋窩リンパ節への針生検は困難だと思います。出血のリスクも負いますので、組織を採取するなら摘出生検の方が良いと思います。
腋窩郭清しているのでしたら転移ではない可能性も高いのではないですか?きちんと郭清していてしかも1個しか転移のない状態で腋窩に再発するとはちょっと考えにくいのではないかと思うのですが…。
このあたりは主治医の先生に確認してみて下さい。
それでは。
はじめまして!
50才です。
術後の抗がん剤半年の治療が始まったところです。
この後放射線3ヶ月の予定です。
10月に手術をしてから生理が止まり、
今に至っていますが、
放射線の治療が終わる頃、
閉経したとみなされますか?
閉経したかどうかの検査などあるのでしょうか?
閉経していればフルベストラント対象となると思うのですが、この治療はどれくらいの期間続けないといけないのでしょうか?
高いし、相当痛そうですが、
やはり受けたい治療です。
よろしくお願いします。
>匿名さん
はじめまして。
フェソロデックスの基本的な適応は閉経後再発乳がんです。術後補助療法としての臨床試験のデータは今のところありませんので推奨できません。
閉経の判断は通常6ヶ月の月経停止で行なうことが多いですが、抗がん剤治療を受けた場合は一時的な月経停止でのちに再開することがありますのでより慎重な判断が必要です。ホルモン検査(FSHとE2)が閉経の判断に役立ちますが、抗がん剤による一時的な月経停止との区別は難しいと思います。経過を追うことが必要になります。
私でしたら匿名さんのような閉経期の患者さんの場合は、まずタモキシフェンを投与して、2年くらいで完全に閉経が確認できたらアロマターゼ阻害剤に変更することをお勧めします。いずれにしてもフェソロデックスを勧められることはないと思いますよ。それでは治療頑張って下さいね。お大事に!
早速にお答えいただき
ありがとうございました!
主治医には、あまり先々のことまでは
聞けなくて、
疑問に思っていましたが、
よくわかりました。
ありがとうございました。
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