2011年11月12日土曜日

脳転移2 診断


脳転移が診断されるきっかけは、突然生じた自覚症状による場合と定期検査(画像、腫瘍マーカー)で偶然発見される場合とがあります。

<脳転移の自覚症状>

・転移部位による局所神経症状:けいれん、麻痺、めまい、失語症、複視(物が二重に見えること)など。
・脳圧亢進による症状:頭痛、嘔吐、意識障害、呼吸異常

<脳転移の検査>

・脳MR:ガドリニウムという造影剤を用いて行なう画像検査です。小さな転移まで描出可能で、多くは周囲に脳浮腫(腫れ)を伴っています(写真)。中心部が壊死すると膠芽腫という脳腫瘍と鑑別が難しい場合があります。
・脳CT:MRより少し診断精度は落ちますが、造影剤アレルギーやペースメーカー挿入者などMRが撮影できない患者さんに代用される場合があります。
・眼底検査:脳浮腫の程度を見るために行なう場合があります。
・髄液検査:癌性髄膜炎を併発している疑いがあるときに採取してがん細胞の有無や脊髄液の性状を調べます。
*場所が場所ですので、針を刺して細胞や組織を調べることはしません。ただ、他の脳腫瘍と鑑別が難しい場合には開頭手術で診断のために組織を採取することがまれにあります。

私が経験した脳転移の患者さんの症状は、徐々に増悪した手の震え、歩行困難、めまい、複視、突然のけいれんなど様々でした。初期の症状はなかなかわかりにくい場合も多いのです。進行再発乳がんの治療中にこのような症状があらわれたら念のために脳MR検査を受けた方が良いと思います。

症状を伴った脳転移は局所治療を急ぐ必要があります。無症状の場合でも一般的には前回書いたように全身治療が効きにくい再発ですので、局所治療を考慮しなければなりません。治療については次回またご説明します。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

初めまして。
トリプルネガティブで検索し辿り着いてから、読ませてもらっていました。

私は術前科学療法(EC・アブラキサン)で元々10センチ位だった腫瘍が3センチ位になったので温存手術をし、今放射線治療中です。
放射線治療をしてから、今までより眠気があるんですが、副作用でしょうか?
また、放射線治療30回が終わったら、抗がん剤(アブラキサン)を開始するんですけど、標準治療でしょうか?期間は1年くらいと言われました。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん
はじめまして。
アブラキサンは、主に再発乳がんに対して使用します。添付文書上は、術前術後の補助療法としての有効性と安全性は確認されていないと書いていますので、私の病院では使用していません。
ただ、もちろん無効だと言っているわけではありませんし、主治医の先生がアブラキサンを選択したのはそれなりの理由があってのことだと思います。実際効果が見られたのでしたら問題はないと思います。
術前後の化学療法の総投与回数については、4-8クールというのが標準的だと思います。それ以上することの有効性は確立していません。ただ、これも匿名さんの術前の状態がそれなりに進行していたと思われますので、それを考慮しての判断なのだと思います。このあたりは私には判断できません。主治医の先生にお聞き下さい。
なお、放射線治療 で眠気が出た患者さんは経験がありません。同時に何か薬を服用していませんか?これも主治医の先生にお聞きになってみて下さい。
ネットでのお問い合わせは、直接診察しているわけではありませんので正確な判断は困難です。不十分な返答で申し訳ありませんがご了解下さい。

匿名 さんのコメント...

返答ありがとうございました。
眠気は副作用と関係ないんですね。
薬は飲んでいないので、毎日30分かけて通院しているので疲れが出ているのかもしれないです。
脳転移も不安だったので、何となく安心しました。

私は道東に住んでいるので、近々浦幌の神社に行ってみようと思います。
お忙しい中ありがとうございました。

hidechin さんのコメント...

>匿名さん
道東にお住まいなんですね!おっぱい神社、ご利益があるといいですね。お大事に!